六本木ヒルズ(東京都港区)が今春、開業20周年を迎えた。「ヒルズ族」という言葉ができたように高級な住宅やオフィスのイメージがあるが、それだけではくくれない独自性を築いてきた。(細沢礼輝、高橋豪)
六本木ヒルズは54階建ての森タワーを中心に、オフィスや住居棟、商業施設、ホテル、映画館などが集まる複合施設だ。開発・運営する大手ディベロッパー・森ビルによると、約2万人が働き、約2千人が住む。
入り口オブジェにも耐震性
その森タワーの玄関口には、高さ10メートルのクモのオブジェ「ママン」が立つ。来訪者の目を楽しませているが、8本の脚のうち6本は地面に固定されていない。地震の際、脚が動くことで揺れを逃がし、転倒を防ぐ仕組みになっている。防災の視点が反映されている。
ヒルズは建設前から「災害時に逃げ込める街」をめざしてきた。タワーの地下には広さ約230平方メートルの倉庫があり、大量の段ボール箱が積み上がっている。中身は、10万食分のレトルト食品や乾パン、簡易トイレ、紙おむつ、医療品などの災害用備蓄品だ。
1995年に起きた阪神・淡…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル