浅倉拓也
龍谷大(京都市)の経営学部で、ゼミ(演習)の担当教員を希望したのに不当に拒まれたなどとして、同大名誉教授が大学側に慰謝料などを求める訴訟があり、13日に控訴審判決が大阪高裁であった。高裁判決は「裁量権の逸脱や乱用があるとは言えない」とした一審の京都地裁判決を支持し、控訴を棄却した。
原告の李洙任(リースーイム)名誉教授は経営学部教授だった2016年4月以降、教員不足でゼミを受講できない学生がいるとして、担当を学部長らに申し出たが、大学側は「採用時に経営学の専攻科目を担当していない」などの理由で認めなかった。
李氏は「不合理な説明や対応で評価をおとしめられ、精神的苦痛を受けた」などとして19年1月に165万円の損害賠償請求を京都地裁に提訴。同地裁は今年2月、請求を棄却していた。
原告側は控訴審で「女性や教養科目担当教員への差別的思考があった」とも訴えたが、判決は「証拠はない」とした。
訴訟の背景には、経営学部で当時ゼミの数が急減したため「ゼミを受講できない学生がいる」として、一部学生が大学にゼミ数や女性教員の増加を要求した問題があった。大学側は「当時も数の上では経営学部のゼミを希望する学生は全員が受講できた」としている。
原告側の塩見卓也弁護士は判決後の記者会見で「大学内で決めたことに介入できないという『大学の自治』が最大のハードルになった。いまでは大学の自治は大きく変わっており、意味を捉え直す必要がある」と訴えた。(浅倉拓也)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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