「タイラギを、有明海を頼む」水族館の初代館長、病床で託した願い

有明海水族館ものがたり㊥

 福岡県柳川市の掘割に、子どもたちの歓声が響く。

 「パパ見て、お魚いっぱい捕れたよ」「タナゴ、ゲットだあ!」

 2月下旬、やながわ有明海水族館が開いた「お堀の大調査」。堀の水を抜いて天日干しと清掃をする地域の伝統行事「水落ち」にあわせたイベントで、胴長姿の親子連れらが掘に入り、生き物探しを楽しんだ。

 案内役を務めたのは、高校3年で館長を務める亀井裕介さん(18)と、前館長で大学4年の宮崎優作さん(22)。

 「投網、やってみたい人いる?」。亀井さんが尋ねると、一斉に手が上がり、投げ方教室が始まった。

 ひじを下げず、右手を放すのは最後、といったコツを手取り足取りで指導。宮崎さんは、魚を捕まえた子にさっと近づき、「それはヤリタナゴ。記念写真、撮りましょうね」と声をかけてまわった。

 開催は4回目で、参加者は過去最高の約110人。

 「こんなにたくさんの人が集まるなんて、信じられない。しかも担い手は若者。ジュンゾウさんが見たら、泣いて喜ぶよ」

 館を運営するNPO「SPERA(スペラ)森里海・時代を拓(ひら)く」の古株メンバー、松石洋一さん(68)は目を潤ませた。

 ジュンゾウさんのおかげで、いまがある――。

 館の関係者が口をそろえて感謝する人がいる。

初代館長の口癖は「俺らの世代が海をダメにした」

 市民団体「有明海を育てる会…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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