夏の高校野球も大詰め。全国選手権大会開幕前から、岩手県大会の決勝では、準決勝で完封したにもかかわらず、それまでの投球数を考慮して大船渡高校が163キロ右腕、佐々木朗希(ろうき)投手(3年)の登板を回避させたことが話題になった。昨年準優勝した金足農業高校の吉田輝星(こうせい)投手(現日本ハム)も連投を重ねたこともあって、各方面で「投球数制限」の是非が議論されている。しかし、元プロ野球選手で今月「高校野球が10倍おもしろくなる本」(青志社、1404円)を出版した江本孟紀さん(72)は、「そういった制度を安易に設けるべきではない」と異を唱えている。
江本さんは、現在の日本では多くの人が根拠を検証することなく「新しいこと」=「正しいこと」と認識していると感じているという。高校野球で投球数制限を設けるべきだとの論もしかりで、危機感を覚えているという。よく引き合いに出されるのが、大リーグの「1試合100球」という目安だが、江本さんは「あれは球団と投手の代理人が金銭交渉をして出来たもの。科学的根拠ではなくカネを巡る争いの産物であり、それを日本の高校生に当てはめるなんてナンセンス」と説く。
「米国流」に対するやみくもな信仰についても懐疑的だ。「アメリカではこうだから、というだけで無条件に正しいと思っている。そもそも向こうには日本の高校野球のような全国大会はない。日本では、高校レベルの野球で子どもから大人まで夢中になれるし、選手は注目される。これだけでも、すごいこと」
大船渡高校の佐々木投手の起用…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル