名古屋刑務所(愛知県みよし市)の刑務官22人が受刑者に暴行などを繰り返していた問題で、法務省の第三者委員会は21日、問題の背景に、若手刑務官が1人で多数の受刑者を担う勤務態勢などがあったとする検証結果と再発防止策をまとめた提言書を斎藤健法相に手渡した。
同刑務所では2021年11月~昨年9月、刑務官22人が受刑者3人の顔をたたいたり、食器口から居室内に物品を投げ入れたりする不適切な処遇を計419件繰り返していた。第三者委は問題が公表された昨年12月から、職員や専門家らへの聞き取りを重ねてきた。
提言書は問題の背景として、勤務態勢に加え、個々の受刑者の特性の把握・共有が不十分▽規律秩序を過度に重視する組織風土▽不適切な処遇を早期に発見する仕組みの不備――などを挙げた。
その上で、再発を防ぐため、刑務官と教育・福祉など専門職員の連携を強める「チーム処遇」などの充実▽若手職員のサポート態勢の充実▽管理職の意識改革など組織風土の改革▽受刑者からの不服申立制度の改善――など7項目を提言した。(久保田一道)
〈第三者委員会の7項目の提言〉
①処遇態勢の充実
→教育・社会福祉の専門家らが関与する「チーム処遇」の確立など
②サポート・マネジメント態勢の充実
→若手職員が1人で多数の受刑者を担当する勤務態勢の見直しなど
③刑事施設視察委員会制度の運用改善
→視察委員が刑務所の内部調査の資料を見られる仕組みの構築など
④不服申立制度の改善
→受刑者の口頭での訴えも受け付けられるような手続きの検討など
⑤組織風土の改善
→受刑者を呼び捨てにする慣行の見直し、細かな規則の精査など
⑥人材確保・育成の充実
→教育や福祉など専門性のある職員を育てるための研修の充実など
⑦業務の効率化・合理化
→デジタル技術を活用した情報共有や事務作業の迅速化など
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル