秋田名物のハタハタ漁に今季、異変が起きている。例年よりピークは1カ月遅れ、とれる場所も違う。記録的不漁になる可能性も出始めた。漁獲量の減少傾向を受けて、とりすぎないよう試行錯誤を重ねる漁師たちからは、切実な声が聞かれる。
港は、水揚げしたばかりのハタハタであふれていた。12月初旬の午後3時過ぎ、秋田県男鹿市の椿漁港。漁師たちが大きさごとにハタハタを選別していく。その中の一人、黙々と手を動かす能登谷(のとや)勝(まさる)さん(61)に「大漁ですね」と声をかけた。「んだんだ」。表情が少しやわらかくなった。
拡大する
能登谷さんは、産卵前の魚群を沖で狙う「沖合ハタハタ漁」の漁師だ。自ら舵(かじ)を取る底引き船「大雄丸」のこの日のとれ高は3トン超。3キロ詰めの箱で1100箱になった。数日後、自分の船に割り当てられた19トンの「漁獲枠」に達した。
ただ好調になったのは12月に入ってからだった。昨年は11月のうちに漁獲枠に達していた。今年はピークが1カ月も遅れたことになる。これほど遅れて大漁期を迎えるのは、近年ないことだった。
気になることは、ほかにもある。
「いつもとってる漁場でねえんだ」。これまで漁をしてきた県央部の男鹿半島沖ではまとまった量のハタハタが入らず、12月に入ってとれた場所はすべて県南部の本荘沖だった。「ハタハタの通り道が変わったんだ」
- ハタハタ
- ハタハタは1年の大半を水深200メートルより深い海で過ごす。産卵のために5㍍より浅い秋田県沿岸に浮上するのは、水温が下がる冬場。「雷が鳴り、海が荒れるころ」と言われる。別名「カミナリウオ」とも呼ばれる。秋田では冬の食卓に欠かせない。「ハタハタがないと正月を迎えられない」と言う人もいる。いつ初漁を迎えるかは一大関心事だ。
さかのぼること1カ月ほど前。11月半ばの日暮れ間際、港に帰ってきた能登谷さんの表情は暗かった。
拡大する
「ハタハタがいねえ。ハタハタで生きてるんだから、死活問題だ」
1回の漁でとるハタハタは、通…
2種類
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
Leave a Comment