鳥取県の高校3年生の「ちゃん」さん(18)の夜は、スマホとともに過ぎていく。「推しの動画を友達と見ながら話します」。ツイッターやインスタも使うが、最近はもっぱら「パラレル」のアプリにどっぷり。何時間もつなぎっぱなしにして、話しながらゲームをしたりユーチューブ動画を見たり。
最近、そんな若者が増えている。
パラレルは、いま急成長する音声SNSのひとつ。無料で話せるのはもちろん、動画やゲームも楽しめる。動画配信サービスの映画だって視聴可能。利用者の8割を、10~20代のZ世代が占める。
ちゃんさんがパラレルを始めたのは今年3月、高校の友達に誘われたのがきっかけだった。
つなげるのは夜が多い。友達3人ほどで集まり、3、4時間はつなぎっぱなしにする。
集まるといっても、オンラインで。スマホのアプリを開き、共有の部屋に入るだけ。ここは部室のような「たまり場」で、仲間が自然と集まってくる。やりとりは非公開だから、完全に自分たちの世界だ。
でも、おしゃべりだけをするわけじゃない。一緒に映像を見て過ごす。
ちゃんさんのお気に入りは、「鹿の間」を名乗るユーチューバーのメイクアップ動画。ジャニーズグループ「Sexy Zone」の菊池風磨の出ているドラマも一緒に見る。
「好きなものを友達と見せ合って共感できるのがうれしくて。部活仲間と一緒に過ごしているような感覚に近いかな。気を使わずにすみます」
仲間に囲まれている安心感。ひとりではなく、友達と一緒のほうが、見たいものがたくさんある。
遊ぶだけじゃなく、つなぎっぱなしにして一緒に勉強することも。静かな空間で、聞こえるのは相手のシャープペンの音くらい。ひとりで勉強する孤独感が和らぎ、「一緒にがんばろって思える。パラレルは気が楽」。
共有する世代
若者はなぜつながり続けるのか。読み解きは記事後半で。
パラレルがサービスを始めた…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル