池田拓哉
民間調査会社の「都道府県魅力度ランキング」が9日に発表される。昨年は栃木県が最下位となり、知事選の争点に急浮上するなど県政界をも揺るがした。様々な理由で1~3番目を自称する県内の飲食店も結果に注目している。
「世界で三番目に旨(うま)い」
宇都宮市の中華料理店「珉亭(みんてい)」のキャッチフレーズだ。二瓶智彦店長(62)は「1番はおふくろの味、2番はおやじのすねの味。これらには勝てないから店の味は3番目」。この言葉は義父で、東京・下北沢で珉亭本店を約60年前に開いた故・佐藤進一さんから引き継いだという。
二瓶さんは「みんながおいしいと満足したらそれでいい。栃木県民が精いっぱいのおもてなしを心がけて喜んでもらえれば、そんなに気にしなくていい。でもビリは嫌だね」。
壬生町の料理店「和洋節中」の店内ポスターは「壬生町長もびっくり!! 栃木で2番目のオムライス」。開店2年目のニューフェースだ。店主の小田信治さん(44)は「1番は明日の当店のオムライス。常にチャレンジャーの気持ちを忘れたくない」。小菅一弥町長も「とろーりしていて大変美味(おい)しかった」とSNSで紹介した。
埼玉県出身。「栃木は家賃も安くて住みやすい。人情があふれている。お客さんが会計時に話しかけてくれるのもうれしい」。魅力度ランキングでは低迷が続く両県だが、「栃木は埼玉には勝ってほしい。私も店の味で微力ながら貢献したい」と語った。
最後は宇都宮市の「割烹(かっぽう)居酒屋 日本一」。代表の大木孝俊さん(77)は「お客さんには仕事でもスポーツでもそれぞれの分野で日本一になってほしい。俺もこの世界で日本一になりたい。そんな気持ちを込めたんだ」。
大木さんは県内外の射撃大会で何度も優勝し、今も現役選手。妻の恵美子さん(69)は「ライフルの腕前は日本一かな」と笑う。
9月末まで2カ月休業した。大木さんは「飲食店も観光地もコロナの影響で持ち味をずっと発揮できていない。それなのに魅力度をランキングにするのはどうなんだろうなあ。でもやるからには、栃木は順位を大いに上げてほしい」。(池田拓哉)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル