生活保護の基準額を2013年から段階的に引き下げた国の決定を違法とした昨年11月の名古屋高裁判決は、異例の手法をとった国の決定過程を「ブラックボックス」と批判した。引き下げを適法とした同4月の大阪高裁判決とは対照的な内容で、「説明責任」の果たし方も今後、最高裁でも焦点となりそうだ。
人気お笑い芸人の母親が生活保護費を受給していたことが明らかになり、「生活保護バッシング」が起こっていた12年。自民党が同年の衆院選で生活保護給付水準の1割削減を掲げて政権復帰すると、国は翌年から食費など生活費にあたる「生活扶助」の基準額を最大10%、計約670億円削減した。この際に用いた二つの手法について、名古屋高裁判決は「説明不足」を指摘した。
まず一つ目は、一般の低所得者世帯との均衡を図る「ゆがみ調整」だ。この調整は、専門家らが入る厚労省審議会の検証結果を踏まえたものだが、同省は独断で調整幅を一律に半分のみとする処理をした。この結果、本来なら基準を上げるべき世帯にも影響し、全体で90億円分の保護費が削減された。さらに、こうした対応をしたことを、厚労省は国民や審議会の委員にも知らせていなかった。
「国民や専門家から批判を避けようとした可能性も」
判決は半分にすること自体は…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル