新型コロナウイルス感染拡大防止のため観客数や収容率にかかっていた制限が大きく緩和された19日、映画、演劇、コンサートなどエンターテインメント興行は、慎重な一歩を踏み出した。大手シネコンはチケット販売を全面解禁する業者と当面50%維持を決めた業者とに分かれた。期待と不安が交錯する現場を見た。
東京・渋谷のミニシアター「ユーロスペース」は、舞台あいさつのある回をのぞき、全席販売の方針で開場した。この日封切りのポルトガル映画「ヴィタリナ」の第1回上映では、隣り合って座る観客の姿も見られたものの、140席以上ある席は、半分以上が空席だった。観客の東京都品川区の無職男性(70)は「運営が苦しい劇場は歓迎だろうが、感染者が減らない現状では不安は残る。隣に無症状の感染者が座る可能性もある」。北條誠人支配人は「長かったが、ようやくここまで来られた。ただお客さんが一気に戻ることはないでしょう。映画館側の予防対策の取り組みがさらに問われる」と話した。
全国興行生活衛生同業組合連合会(全興連)は国との調整を経て、ようやく前日になって「収容率100%にする場合は、食事をさせないよう努める」との基準を固めた。ポップコーンなどの食事販売が大きな利益になる映画館も多く、当面従来通りの制限を続ける映画館も目立った。シネコン大手では、ティ・ジョイが全席販売を再開する一方、TOHOシネマズは50%以下を維持。109シネマズは、19日分を全席販売したが、20日以降は再び50%以下の販売に戻すという慌ただしさだ。
演劇では東京・渋谷のパルコ劇…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル