「アクセルは踏んでいない」。東京・池袋で2019年に乗用車が暴走し、母子が死亡するなどした事故の公判で、被告が27日、事故状況や心境を法廷で語った。自らの過失でなく車のトラブルが原因と訴える被告に、傍聴した遺族は公判後「真実を述べてくれると思ったのに……。荒唐無稽な主張だった。事故の後、一番絶望を感じた」と泣きながら話した。
アクセルとブレーキ「踏み間違っていない」
自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死傷)の罪に問われたのは、旧通産省工業技術院元院長・飯塚幸三被告(89)。
飯塚被告はこの日の被告人質問で、「エンジンが異常に高速回転した」と当時を振り返り、車のトラブルが事故原因だと説明。「車が制御できないと思いパニックになった。ブレーキペダルを踏んだが、ますます加速した」と述べた。
「踏んだのがアクセルなら説明がつくと考えたことはないか」とただした検察側に対しては、「踏み間違えの記憶は一切ない」と否定。車を運転する運動能力や判断能力については「問題ないと思っていた」と語った。
事故では、自転車で横断歩道を渡っていた松永拓也さん(34)の妻・真菜さん(当時31)と長女莉子ちゃん(同3)が亡くなり、9人が重軽傷を負った。飯塚被告は「親子が亡くなられたことについてご冥福をお祈りしたい気持ちでいっぱい。(裁判の)結果がどうあろうとも事故のことは重く受け止めたい」と話した。
■妻と子失った夫 被告に直接…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル