斉藤佑介、井上翔太
「サワサワ」
「ワサワサ」
東京五輪の開幕に先立って21日に始まったソフトボールの日本―豪州戦。会場となった福島県営あづま球場(福島市)で取材していると、不思議な音が気になった。
1万4千人を収容予定だった球場は無観客。耳をすますと、「ザーザー」「ザワザワ」という音に混じって、時折「オウ」「ハオッ」「ヒュー」などの歓声のような声もまじる。
どこから聞こえるのか、周囲を見渡すと、一、三塁側双方のベンチ裏のスピーカーから響いていた。目を閉じると、人混みの中にいるような気分にもなった。
大会組織委員会の関係者に聞いてみたら、こんな回答が返ってきた。「臨場感を出すため、観客がいるような音を準備している。無観客対策だ」
ただ、選手には届いていたか疑わしい。四回に2点本塁打を放った藤田倭(やまと)選手は試合後、「ヘリコプターの音じゃないんですか?」と苦笑い。「ベンチで(仲間と)音がするよねって。歓声だったんですね。明日は意識して聞いてみます」と笑った。
無観客試合に藤田選手は「観客あり、であればなおよかったと思うが、コロナ禍のなかで大会が開催されたということが奇跡に近い。スポーツができる幸せを感じ、福島の地でソフトボールができるのがうれしい」と話した。
一方で、海外選手からは「ウィアード(変な感じがした)」という感想も聞かれた。
無観客のスポーツイベントをめぐっては、日本のプロ野球が事前に録音したファンの声援を球場内に流す取り組みなどをしている。(斉藤佑介、井上翔太)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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