「ヘルスかソープかな」女性を売買する男たち 性ビジネスの実態(西日本新聞)

復刻連載【灰色の街に生きて】

 クリスマスのイルミネーションがともり始めた福岡市・天神。商業施設の前でじっと待ち、一人歩きの女性を見定めるスーツ姿の男たちがいる。「空いた時間で稼ぎませんか」。さっと並んで数メートル歩き、諦めては同じ行動を繰り返す。  夜の街の仕事を仲介するスカウトたちだ。近くには九州最大の歓楽街・中洲がある。店側が勧誘するケースもあるが、店に紹介した女性の売り上げ分から数%を手にする「スカウトバック」の仕組みがここ数年で定着し、専門業者もいる。

 「声を掛けてカフェでの面接につながるのが100人に1人やね。そこで話せば大抵は落とせる」。15年以上のスカウト経験がある男性(33)が中洲で取材に応じた。あっせんした女性は5千人を超え、紹介先の1割は性的サービスを提供する風俗店という。  性交を伴わない店舗型や派遣型のヘルスのほか、ソープランドのように「あくまで浴場の提供。個室内の行為までは知りようがない」との建前で、売春が常態化している店もある。「そういうところは客の単価が高いからもうかるんだよ」。男性の場合、高級ソープへの紹介料だけで2千万円を稼いだ年もあるという。  若者が集う華やかな街がスカウトたちの「狩り場」となっている。

「大勢の前で脱ぐのは平気?」

 ある日のカフェ-。  「留学したいんやね。親に頼るより、自分で稼いだ方がよくない?」  「キャバクラだと収入はこれくらい。足りんよね」  「上半身だけ裸になるパブもあるけど、大勢の前で脱ぐのは平気?」  「嫌なら個室のヘルスかソープかな。セックスのスキルアップにつながるし、彼氏も喜ぶと思わん?」  世間話から始まり、自分で選ぶように誘導される。天神でスカウトされた福岡市の女子大学生も「その日のうちに契約書みたいな紙にサインしてしまった」と振り返る。嫌になって無断欠勤すると多額の罰金を科され、余計に辞められなくなる人もいる。

 「モデルやアイドルにならないか」と誘われて契約した10~30代の女性197人中、53人(27%)が契約外の性的行為の撮影を求められた-。2月に公表された内閣府の調査で、性ビジネスにおける人権侵害の一端が表面化した。アダルトビデオ(AV)への出演を強要された人もいた。

Source : 国内 – Yahoo!ニュース

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