都市部を中心に注目を集める「電動キックボード」。レンタルサービスの拠点が増え、手軽に利用できるようになった一方、ヘルメット着用などのルールをめぐって利用者の一部に誤解も生じている。死亡事故も起きるなか、新しい乗り物を安全に広められるのか、関係者の模索が続く。
大阪市中央区の日本橋近くの路上。10月中旬の夜、職場に向かっていた飲食店従業員の男性(32)は、髪をなびかせて電動キックボードに乗っていると、検問中の警察官に止められた。
運転免許証の有無を確認され、無免許運転やヘルメットをかぶっていなかった道路交通法違反で警告書を渡された。男性は「ヘルメットはいらないんやと思っていた」と驚いていた。
両足をボードにのせ、腰ほどの高さのハンドルのアクセルとブレーキを操って走る電動キックボード。大阪府警によると、原則、原付きバイクに分類される。免許が必要で、ヘルメットの着用や自賠責保険への加入が義務づけられる。車両には前照灯やバックミラーなどを備え、ナンバープレートも必須。走れるのは車道のみだ。
男性は、大手量販店で9月下旬に購入したという。夜間の道路の混雑を避けるのが目的だった。店で交通ルールについて詳しく説明された覚えはないといい、「ヘルメットをかぶらずに乗る人を街で見て、自分も同じだと思っていた」と話した。
街中で見かけることが増えた電動キックボード。国の実証実験に基づき、特例措置の適用を受けて走る電動キックボードか否かで、交通ルールが異なります。記事後半では、2024年までに施行が予定される改正道交法によって、さらに変わるルールを紹介します。
ポート数は1年半で12倍超
混乱の背景には、国の実証実験に基づき、特例措置の適用を受けて走る電動キックボードの急増がある。特例措置を活用して事業者が貸し出すものは「小型特殊自動車」に分類され、自転車程度の時速15キロまでしか出せず、事業者からの要望を受けてヘルメットの着用は任意だ。自転車レーンも走れる。
実証実験に基づいて貸し出す…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル