ベビーカーでのバス移動は、肩身が狭い。母になり、そう痛感している。ベビーカーを利用して外出するときの「幸福感」は、通勤よりも低いという研究結果もある。公共交通機関で心穏やかに移動できる社会にするヒントを探った。
5月中旬、1歳の息子をベビーカーに乗せて、東京都内の自宅近くから都営バスに乗った。案内表示通りにベビーカーの乗車エリアに立ち、座席についているベルトで固定した。
車内は、だんだん混んできた。迷惑をかけていないか気が気ではない。そこに、あの車内アナウンスが流れてきた。
「混雑時はベビーカーをたたんでのご利用を、ご協力お願いいたします」
協力したい気持ちはあるが、わずかな停車時間中に子どもを抱き上げ、荷物を持ち、ベビーカーをたたむのは難しい。しかも両手がふさがり、つり革をつかめなくて危険でもある。
目的地に着くまでの約20分間で、アナウンスは4回流れた。そのたびに心臓がキュッと締めつけられた。
2014年、国土交通省は「電車やバスに、ベビーカーをたたまず乗れる」との指針を出した。都営バスはこれより8年も前の06年に、同様の考え方を示している。つまり、ベビーカーはたたまなくてもいいはずだ。
都交通局に取材したところ「乗車後に混雑してきたとしても、たたむ必要はありません」という。
都バスの車内放送には、見直しを求める声も上がっています。記事後半では、ベビーカー利用時の「移動幸福感」について調べた研究を通して、社会を変えるヒントを探っています。
都バスが放送を続ける理由は…
それなのにアナウンスを流す…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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