大阪市北区のクリニックで昨年12月、26人が犠牲となった放火殺人事件から間もなく1年となるのを前に、遺族の代理人弁護士らが6日、大阪市内で記者会見を開き、事件で夫を亡くした女性2人の談話を公表した。遺族は癒えることのない悲しみを訴えた。
「私の時間はあの日で止まっています」。女性の一人はそうつづった。クローゼットの服やげた箱の靴、シャンプーや歯ブラシまで、夫のものはそのままという。
「一緒に年を取って夫より1日早く死にたかった。夫のいない世界で生きていたくなかった」と吐露した。この1年は「あっという間」だったといい、周囲の支えで生きてこられたという。
子どもはまだ幼く、父親との思い出がどれほど残っているのか不安も明かした。「父親は写真と動画の中にしかいないのかもしれません。私はそれが本当に寂しくて悲しいです」
関西地方の別の女性は事件後、夫がいない初めての子どもの運動会を迎えた。「一緒に見てくれているかな」。女性は空を見上げ、心の中で夫に話しかけたという。毎晩、仏壇に向かって語りかけ、返事がないことに涙する日々だという。
「この1年は、本当ならば彼…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル