「顔を見て実体として相手を認識し、少し楽にはなった」
東京都の大学生、福田和香子さん(28)は2021年2月、東京地裁の証人尋問でその女性と初めて相対した。どうあっても自分の書き込みは正しかったと信じている様子に怖さを感じる一方、自分を敵視する存在を「実体」として見られたことに、少しは意味があったと思ったという。
その女性とは、ツイッターなどで福田さんに対し、おびただしい数の誹謗(ひぼう)中傷を匿名で書き続けた人物。福田さんは発信者情報の開示請求を経て、この女性に損害賠償を求める訴訟を起こしたが、証人尋問までは相手の顔が見えない状態が続き、精神的にもこたえていたという。「顔がわかるって、こんなにも大事なんだと思った」
福田さんは安全保障関連法制に反対した学生団体「SEALDs(シールズ)」の元メンバー。国会前デモやSNSでの発信などを強めた15年夏を中心に、他のメンバーとともに、ツイッターやまとめサイトなどで、すさまじい誹謗中傷を受けた。
当初は安保法制賛成派からの批判もあったが、次第に「女性メンバーの見た目をけなしたり褒めたりして性的に消費・嫌がらせをする書き込みや、『女が政治に口を出すな』『女にわかるわけがない』といった書き込みも増えた」。まるで、「すべての人が攻撃してくる」かのような錯覚も覚えるほどだったという。
誹謗中傷に苦しむ福田さんたちは、誰が投稿したのかを明らかにするための行動に出ます。その後、実際に誹謗中傷を投稿した人物と法廷で向き合いました。裁判の行方は…。そして被害者へのケアについて考えます。
開示請求、そして投稿者が判明
強まる誹謗中傷に耐えきれず…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル