大阪地検岸和田支部(大阪府岸和田市)で収容予定だった女が、男の運転する車で逃走した事件で、大阪地検は1日、女の身柄を同府和泉市内で確保した。一緒に逃げた男も、公務執行妨害と傷害の疑いで逮捕した。
女は住所・職業不詳、野口公栄(きみえ)被告(49)。男は大阪府泉南市、建築業、野口仁(じん)容疑者(30)。地検は1日午前11時16分ごろ、岸和田市と隣接する和泉市内で公栄被告を確保し、約30分後に同じ場所にいた仁容疑者も逮捕した。捜査関係者によると2人は親子。
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「不祥事だと思う」「ご迷惑をおかけした」。野口公栄被告と仁容疑者の確保を受け、大阪地検幹部は1日午後、硬い表情で報道陣に経緯を説明した。
事件では、地検が事案の公表まで約5時間を要したほか、岸和田市をはじめとした近隣自治体にも特段の影響がないとして報告を見送り、批判を招く事態となった。
対応の是非を問われた地検の畝本(うねもと)毅次席検事は「当庁の対応含め、収容のあり方などについても検討していきたい」。また地域住民に不安を与えたことを陳謝し、今回の事態について「決してあってはいけないことという意味では、不祥事だと思う」と述べた。
検察の収容手続きをめぐっては、神奈川県愛川町で6月、保釈中に実刑が確定した男が逃走する事件が発生。最高検は8月、自治体などとの緊急連絡体制の構築や収容業務の検討を求める通達を、全国の地検と高検に出していた。
この点について畝本次席検事は「大阪地検としての体制を作り上げる途上だった」と説明。今回の事件では、公栄被告が地検岸和田支部に自ら出頭していたことから「職員の肌感覚として(収容の)難易度が低いと思った可能性がある」と指摘した。
今回の件について元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士は「結果的に逃してしまっている以上、弁解の余地はない」と強調。「4人の検察事務官らがいた中で逃走を許したのは、相手の動向や気配の監視に抜かりがあったとしかいいようがない」と苦言を呈した。
甲南大法科大学院の園田寿教授(刑法)は「これまでは(収容前の被告が)逃げるはずがないという『性善説』で成り立つ部分があったが、それが通用しなくなっていると思わなければならない」と話した。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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