愛知県で開かれている国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」(津田大介芸術監督)の展示の一つである企画展「表現の不自由展・その後」が、テロ予告や脅迫を含む抗議を受けて、開幕3日で中止に追い込まれた。企画展はどう生まれ、中止となったのか。
生まれるまで 津田氏「実行委の意見尊重」
中止された企画展は、慰安婦を表現した少女像や、昭和天皇の肖像群が燃える映像作品など、美術館から撤去されたり、作品解説を書き換えられたりした二十数点を展示していた。津田氏によると、公的施設で表現の自由を考えるきっかけにしてもらうのが狙いだったという。
企画展には2015年に東京で開かれた「表現の不自由展」という原型があった。12年に東京の新宿ニコンサロンが韓国人写真家安世鴻(アンセホン)さんによる元慰安婦の写真展をいったん中止にした問題を契機に、安さんの支援者が開いたもので、鑑賞した津田氏は衝撃を受けたといい、続編を構想した。
津田氏は15年の展示に関わった約30人の実行委員会の一人、元NHKプロデューサーの永田浩三・武蔵大教授に昨年、再展示を打診。今年1月、芸術祭のキュレーター(展示企画者)の会議で開催が決まった。
具体的には、永田氏やフリー編集者の岡本有佳氏ら5人の新たな実行委が作家と準備を進めた。津田氏は芸術祭の作家選定に責任を持つ芸術監督だが、この企画展では「どの作家を入れるかにあたり、私の提案が断られたこともあり、作家選定は実行委の意見を尊重した」と説明する。
県によると、少女像などを含む展示内容を県が知ったのは4月。県が相談した弁護士は「来場者の生命・身体に大きな影響を及ぼす場合は中止せざるを得ない。来場者保護の方が表現の自由より優先される」と助言。県警は少女像の写真のネット拡散の可能性を指摘した。県は少女像を写真パネルにするなど展示方法の見直しを津田氏に要望した。
しかし、津田氏から相談された…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル