昨年7月に「表現の不自由展・その後」の関連展示をしていた名古屋市の市施設に郵送された封筒が破裂した事件で、差出人名や消印の郵便局名が、その約10日後に大阪市の同様の展示会場に送られた郵便物と同じだったことがわかった。電池を使う仕掛けも同じだった。愛知県警は、同一人物の犯行とみて威力業務妨害の疑いで調べている。名古屋会場での破裂は8日で発生から半年を迎えた。
捜査関係者によると、両会場に送られた封筒には、ともに右翼団体を連想させる差出人名があり、兵庫県内の郵便局の消印が押されていた。単3電池やリード線を使って、開封すると火薬に通電し破裂する仕組みも同じで、展覧会の中止を求める文書が入っていた。
犯行声明などは確認されていない。捜査幹部は「誰でも入手できる材料。関与した人物の割り出しには時間がかかる」と話す。
愛知県警は、消印のあった地域の防犯カメラ映像の分析や、郵便局員らへの聞き込みをして捜査。展示に批判的な団体などからも情報を集めている。
事件があった展示は、国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」で一時中止された企画展の出展作品を集めたもの。昨年7月6日から市施設「市民ギャラリー栄」(名古屋市中区)で始まり、同8日朝に職員が郵送された封筒を開けたところ、10回ほど破裂音がしたという。けが人はなかったが、開催2日で事実上中止となった。
大阪会場は大阪府所有の施設「エル・おおさか」(大阪市中央区)。施設の指定管理者によると、会期中の同17日に郵便局から「不審な郵便物がある」と連絡があった。別の場所で開封した大阪府警から「爆発物のようなものだった」と伝えられたという。
不自由展をめぐっては、昨年…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル