逮捕後、不起訴になったのに懲戒解雇されたのは不当で処分は無効だとして、ヤマハ発動機(静岡県磐田市)に対し、元管理職の男性(59)が社員としての地位確認などを求める訴訟を起こした。静岡地裁浜松支部(藤崎彩菜裁判官)で21日に開かれた第1回口頭弁論で、会社側は「処分は適法で有効」と反論した。
捜査当局に逮捕された後に処分保留で釈放され、さらに不起訴になった社員を会社は懲戒解雇できるのでしょうか。そんなテーマが争点となる裁判が始まっています。
訴状などによると、男性は2022年4月、覚醒剤が入った小包を海外から受け取ったとして、麻薬特例法違反容疑で静岡県警に逮捕された。5月には営利目的で密輸したとして覚醒剤取締法違反容疑で再逮捕された。男性は一貫して容疑を否認。静岡地検浜松支部が処分保留で釈放し、同年10月に不起訴処分となった。
会社は釈放された6月1日に自宅待機を指示し、同8日に懲戒解雇処分を通知した。「(覚醒剤取締法違反容疑での)捜査当局による強制捜査が会社に勤務する社員の著しい不安を招き、社内規律を乱した」として、就業規則に抵触するという内容だった。
男性側は逮捕容疑は事実無根の「警察による誤認逮捕」で「全く責任がない」と主張。懲戒解雇の通知前に事情を聴くこともせず、「誤認逮捕を理由にした解雇は労働契約法違反だ」と訴え、解雇は無効だとした。また、この間の賃金と、慰謝料550万円の支払いも求めた。
会社側「解雇には合理的理由がある」
一方で会社側は、結果として覚醒剤を輸入させてしまったことについて「不注意では済まされない重大な非違行為」だと指摘。解雇処分には客観的に合理的な理由があると主張した。
ヤマハ発動機の代理人弁護士は取材に対し「訴訟での書面で示しているとおりです。現状ではそれ以上のコメントはありません」と話した。(大平要)
懲戒解雇は重いペナルティー
懲戒解雇は企業で働く人にと…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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