自治体独自で学校給食を無償化するところが相次いでいます。
一方で、少子化対策の一環として国も、小中学校の学校給食の実態調査を始めました。
国が一律で無償化することの意義とは?
東京大学の山口慎太郎教授(経済学)に聞きました。
――国による一律の無償化は、少子化対策として有効だと思いますか。
子ども・子育て支援が論じられる中で、世の中の関心が出生率に向きすぎているのが気になっています。
いま生まれてきた子により良い環境を用意することも、出生率の向上と同じかそれ以上に大事なのに、「子ども・子育て支援=出生率」になっていませんか。
子どもの健全な発達を支え、子どもがより良い人生を送れるために予算を確保するべきです。
国内外の研究から、給食は子どもたちの栄養状態の改善や、学校の出席率、成績の向上に少なからず良い影響を及ぼすということが明らかになっています。
給食のように、きわめて基本的な子どもの福祉に寄与するものは、国が一律に負担するのが良いと思います。
児童手当の支給対象を中学生から高校生まで引き上げる話もありますが、それをまさに給食無償化の原資にすると良いのではないでしょうか。
児童手当と違って、給食費の無償化は、お金が全て間違いなく子どものために使われるという点でも優れています。
現金をばらまいて選挙対策のようなことに使うよりは、無償化の方がはるかに社会的意義も高く、お金が期待した形で使われます。
児童手当より優先度が高いと思います。
――現在、生活保護世帯では給食費の負担がゼロになっていることなどから、「必要な家庭には支援が行き届いている」という声もあります。
確かに就学援助などもありま…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル