山梨県立博物館(笛吹市)がSNSで紹介した不思議な鳥の絵「ヨゲンノトリ」が話題を呼んでいる。コレラが流行した幕末に描かれたが、新型コロナウイルスの感染が広がる今、「疫病よけ」の商品に利用する動きも広がっている。
ヨゲンノトリは、旧市川村(現山梨市)の名主の喜左衛門が、1858(安政5)年に記した「暴瀉病流行(ぼうしゃびょうりゅうこう)日記」に描かれた頭が二つある鳥の絵だ。
説明書き(現代語訳)には「来年の8月・9月のころ、世の中の人が9割方死ぬという難が起こる。それについて、我らの姿を朝夕に仰ぎ、信心するものは必ずその難を逃れることができるであろう」と記されている。
企画展で何度か展示してきた史料だが、感染症の拡大で休館する中、中野賢治学芸員がツイッターで紹介することを思いついた。4月3日に投稿すると1万件を超す「いいね」が寄せられ、ホームページ(HP)でも紹介を始めた。
画像の私的な利用は自由。携帯の待ち受け画面にしたり、コピーして「感染よけ」に使ったりする人も多い。商業利用の問い合わせも50件ほど寄せられている。県内の事業所なら無料。お札やキーホルダー、衣料品や酒のラベルなどに使われる例があるという。
日記には、長崎で発生したコレラが江戸から山梨に広がり、1日に30~40人もの人が亡くなり、甲府で683人の死者が出たことが記されている。寺社では病魔退散を祈る祈禱(きとう)や祭礼が盛んに行われたことも紹介されている。
中野学芸員は「未知の病、疫病に対する不安は、今の状況と重なるところが多い。昔の史料を通して、病との向き合い方を学んでほしい」と話す。当面はHP上で公開を続ける。(永沼仁)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル