「世界最大のロックダウン」の現場 新型コロナ渦のインド、日本人駐在員の記録(47NEWS)

 13億6600万人の人口を抱えるインドは、新型コロナウイルスの感染防止対策として3月下旬から全土でのロックダウン(都市封鎖)を続けている。必需品の販売店を除く全商業施設が閉まり、鉄道やバスといった公共交通機関だけでなくタクシーも利用できなくなった。こうした規制は5月4日に一部緩和されたものの、現地の医療体制への懸念から日本企業の駐在員が退避する動きが相次ぐ。封鎖から間もない現地の状況について報告する。(NNAインド編集部=榎田真奈)

 ▽ゴミあさるイノブタ

 オフィスや自宅があるハリヤナ州の街グルガオンは、人口200万を超す近代的な都市。隣接するニューデリーと合わせ「首都圏エリア」と呼ばれることが多い。日本をはじめ外資系企業が入るビルや通勤する人たちのマンションが立ち並び、成長するインドを象徴する活気ある街だった。ラッシュ時には渋滞する車であふれ、インドではあいさつ代わりのクラクションの音が響いていた。

 封鎖後、街から人が消えてしまった。商業施設やオフィスビルは全て閉鎖となり、警察官が交差点で必須でない車や人の移動がないかどうか監視している。人通りのない道路で4匹のイノブタの群れがゴミをあさっている。ビルが立ち並ぶ大通りから離れた場所にある住宅街に行くと、アパートのベランダや一戸建て住宅の庭で電話をしている人の姿をようやく見かける。ほぼ全ての会社員が在宅勤務となっており、緊急事態宣言が出ても多くの人が出歩いている日本とは対照的だ。

 全土封鎖3日目の3月27日に外出した。大気汚染が深刻なグルガオンでは見たことがないくらい澄んだ青空が広がるようになった。封鎖により自動車の往来がほぼなくなり、空気がきれいになったようだ。

 外出の目的は開いているスーパーを探すこと。普段は自動車での移動に頼りきり、自宅から遠い大型スーパーで買い物していたので、近所にどんなスーパーがあるのかを十分に知らなかった。歩き続けること約30分。小規模のスーパーの棚には空きが目立つ。さらに30分以上歩く。ショッピングモールにある食材店に入ると店主から「今なら酒は全品10%オフだよ」と声をかけられる。グルガオンでは酒類の販売停止が決まり、「この店もあと3日で酒類の販売を停止する」という。スーパーでは入店人数が制限されており、30分ほど待った。物流が滞っているとの報道もあり、これまで通り必要な生活用品や食料が手に入るか不安が残った。


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Source : 国内 – Yahoo!ニュース

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