道路に流れ込んだ土砂を撤去するショベルカーの操縦席から、作業員の声が飛んだ。
「ここから先には進めないぞ!」
1月下旬、能登半島地震で震度7の揺れに見舞われた石川県志賀町にある北陸電力志賀原発を起点に、原発事故時の避難ルートを車でたどった。
原発から北に7~8キロ走ると道路は波打ち、一部で土砂崩れが起きていた。さらに北東の輪島市へつながる県道を10キロ進むと、道が完全に塞がれていた。
行き止まり地点の近くに住む50代男性は言った。「原発から離れるにはこの道しかない。もし原発事故が起きても、逃げ場はないよ」
地震の影響で志賀原発では核燃料の冷却に必要な外部電源5回線のうち2回線が使えなくなった。放射能漏れなどの重大な事態は起きなかったが、原発周辺の住民には原発災害時の避難への懸念が広がる。
志賀原発から半径30キロ圏内に暮らすのは約15万人。いまの県や町の計画では、原発北側の住民は重大事故時、能登町など半島の先の方へ逃げることになっている。
だが、昨年12月下旬に就任したばかりの志賀町の稲岡健太郎町長は、こう言う。「陸路のみの避難がまず不可能であることが、今回の地震で分かった。海路や空路がどこまで使えるのか。自衛隊は来てくれるのか。検討すべき課題は多い」
崩れた避難計画の前提条件
能登半島地震が起きた元日…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル