「技能実習制度」の見直しを進める有識者会議に示された最終報告書の「たたき台」では、転籍制限を緩和する方針を盛り込んだ。外国人は歓迎する一方、人手不足にあえぐ地方では人材流出に不安の声があがる。実効性ある運用ができるのかも不透明だ。
北海道東部の標津町にある建設会社、上田組で特定技能として働くグエン・フー・タインさん(31)は「低賃金で長時間労働は当たり前なんていう企業に3年もいたら損するだけ」と、転籍制限の緩和を歓迎する。
4年前に技能実習生としてベトナムから来日、昨春に特定技能に移った。自身は同じ会社で働き続けるが、SNSで企業から不当な扱いを受けた実習生の動画をみる機会が増えた。「ひどい会社だったら一刻も早く転籍させて欲しい」
いまの技能実習制度は原則、転籍できない。18日に示された「たたき台」には1年を超えて働くと転籍できる新しい制度が盛り込まれた。過酷な労働環境に我慢してきた実習生の人権を守り、日本で働きたいと思う外国人を増やすことも狙いにある。
「ヨソに取られるなら残ってほしい」
ただ、地方からより賃金が高い都市部へ人の流れが加速しかねない。
出入国在留管理庁の調査では…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル