三重県南伊勢町の岸壁付近で15日、海中に沈んだ乗用車の中から同県伊勢市朝熊町の自営業、羽根正樹さん(37)と羽根さんの小学生の子ども4人が遺体で見つかった。県警は16日、近く遺体を司法解剖する方針を明らかにした。5人に目立った外傷はなく、死後数日経っているという。
羽根さんのほか小学6年の長男聖夏(せな)さん(12)、小5の次男怜皇(れお)さん(10)、小3の三男蘭琉(らる)さん(9)、小1の長女芽杏(めあ)さん(7)が見つかった。捜査関係者によると、車は上下さかさまの状態で沈んでいて、車内から釣りざおやクーラーボックスなども見つかった。釣りに来た羽根さんが運転を誤って転落した可能性も含め、県警は事件と事故の両面で調べている。
県警によると、羽根さんらは11日早朝に自宅を出たが、2日後に妻が「帰ってこない」と警察に行方不明届を出した。県警は防犯カメラの映像などから捜索範囲を絞り込み、車を発見。妻は、通学時間に間に合うよう羽根さんが子ども連れで早朝から釣りに出かけたことが過去にもあったと説明しているという。
現場は、海沿いを走る国道から約200メートル南にある約3・5メートル幅のコンクリートの岸壁で、柵や車止めはなかった。地元の人によると、かつてはブリの定置網漁などが行われていたが、埋め立てなどをして岸壁を整備。釣り人が来ることもあるが、明かりもないため夜は真っ暗だという。
近所に40年近く住む男性(64)は「車が海に落ちたのは初めて聞いた。岸壁に車止めがないこともあり、岸壁近くの草地に車を止める人が多いのだが……」と話した。
きょうだい4人が通った小学校の校長は取材に「言葉にできない悲しみを感じている。教師としてこんなにつらいことはない。教職員もみな同じ気持ちです」と言葉を詰まらせた。
地元からは悼む声「地域の宝が…」
家族を知る地元の人や現場周辺からは、悼む声が相次いだ。
現場の近くに住む男性(64)は15日昼に異変に気づいた。警察や消防などの車両が岸壁付近に集まり、夕方までかかって車を海から引き揚げた。「自分の孫と同じ世代の子どもが4人も亡くなり、胸が痛みます」
別の近所の男性(80)によると、岸壁で釣りをする人は1日に数人程度。アジやアオリイカなどを狙う人が多いという。「明るければ危険な場所もなく、釣り人の大半は高齢者。ニュースには驚いた。子どもたちが気の毒です」と語った。
きょうだいが通っていた伊勢市の小学校では16日朝、緊急の全校集会を開き、校長から4人が亡くなったことが伝えられた。校長によると、ニュースや親から聞いて知っていた児童が多い中、泣きじゃくる子たちの声が体育館に響いたという。
普段は集団登校だが、学校側は子どもたちのショックを考慮し、登校前に保護者に緊急メールで可能な限り送ってほしいと依頼。学校まで子どもを車で送る保護者が多かったという。
取材に応じた校長は、4人に…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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