酒本友紀子
東京電力は5日、福島第一原発事故で避難した住民が「ふるさと喪失」の慰謝料を求めた集団訴訟の原告らに対し、「人生を狂わせ、心身ともに取り返しのつかない被害を及ぼした」と小早川智明社長名で謝罪した。東電が集団訴訟の原告側に社長名で謝罪するのは初めて。
謝罪の場は、最高裁で3月、国の基準を超す賠償の支払いを東電に命じる高裁判決が確定したことを受け、東電の福島復興本社がある福島県双葉町で設けられた。ただ、小早川社長は現地を訪れず、復興本社の高原一嘉代表が「事故により、かけがえのない生活やふるさとにとても大きな損害を与えた。誠に申し訳ございません」などとする謝罪文を読み上げ、頭を下げた。
原告団の金井直子事務局長(56)は「真摯(しんし)な謝罪を素直に受け止めたい。大企業のおごりを持たず、地域住民の生活を取り戻す努力を惜しまないことを誓う言葉だと信じている」と話した。(酒本友紀子)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル