「人間の心はあるのか」夫は泣いた 大川原化工機、拘置所の医療問う

 起訴を取り消された「大川原化工機」(横浜市)をめぐる事件で逮捕・起訴された同社顧問の相嶋静夫さん(当時72)が亡くなったのは、勾留先の東京拘置所の医師が適切な措置を怠ったためだとして、遺族3人が国に1千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が21日、東京地裁である。遺族は裁判所に「謝って欲しい」と訴える。

 「裁判官や警察、検察は、人間の心があるのか」「死にたくない」

 2020年10月。相嶋さんは東京都文京区の病院前の路上に立ったまま、周囲を気にせず、肩をふるわせて泣いた。強気で少し短気な技術者。相嶋さんの妻(75)は「事件の前までは弱音を吐くような人ではなかった」と言う。

 相嶋さんが逮捕されたのは20年3月。東京拘置所に勾留されていた20年9月、貧血を発症し、黒い便が出た。外部の病院を受診したいと保釈を求めたが、認められなかった。拘置所で内視鏡検査を受け、10月に悪性腫瘍(しゅよう)とわかった。

 外部の病院での精密検査や治療が必要だと再三訴えたが、認められたのは8時間の勾留停止だけだった。文京区の病院で診察を受け、「進行胃がんの疑い。精密検査が必要」との診断が出たが、その直後に行った5回目の保釈請求も、裁判所はまた認めなかった。

 相嶋さんの妻は「このまま連れて逃げてしまおうかとさえ思いました」と振り返る。「適切な医療を受けさせてほしいとお願いしているだけなのに、どうしてできないのか」と思ったという。

「被告」のまま死亡 長男「死ぬのを待っていたのか」

 相嶋さんは翌11月に勾留執…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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