日本近代文学の初版本収集で、川島幸希秀明大学学長(59)の右に出る人はいない。最強のコレクターとして「熱病に冒されたように」買い集め、10万冊以上を保有する。手元の初版本に自筆原稿を加えると、芥川龍之介、太宰治、夏目漱石……と展覧会がいくつも開けるほどだ。収集熱は35歳ころまでがピークで、今は自称「元コレクター」だが、貴重な初版本や署名本、自筆原稿などの出品を知ると「血が騒ぐ」。「生まれ変わってもまた古書コレクターになる」と話すほど愛し、いまや初版本収集の伝道師の役割を果たす川島さんが、その魅力を語る。
「いろは」を公開
運営するツイッターの「初版道」では日本の近代文学書と作家の情報を紹介しています。フォロワーは約1万5千人で、30歳未満が7割。女性比率は8割を超えました。古書市などで見かける人は高齢男性ばかりなので、古書業界の人たちに驚かれています。
「初版道」では、たとえば泉鏡花の誕生日の11月4日に、私が持つ彼の初版本のうち何冊かを写真で紹介しました。鏡花本のコンプリート(全収集)は難しいのです。
私自身は高校生のころから古書店巡りを始め、学校への行き帰りに『明治大正詩書総覧』や『明治文学書目』を読み、書誌や書影を学ぶほど熱中していました。親しい友だちはたくさんいても、近代文学の初版本について語りあえる仲間は一人もいませんでしたね。
古書店で稀覯(きこう)本を買…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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