「今年の漢字」いつも清水寺で発表、なぜ? 生みの親が明かす人の縁

 「いい字 いち字」の語呂合わせで12月12日は「漢字の日」。日本漢字能力検定協会がこの日に京都・清水寺で発表するのが、今年で29回目を迎える「今年の漢字」だ。阪神大震災のあった1995年の「震」、食品偽装が相次いだ2007年の「偽」、ロシアのウクライナ侵攻があった昨年の「戦」など、漢字一字で世相を鋭く切り取ってきた。師走の風物詩はいかにして生まれたのか。

考案した人は「墨爺」に

 「今年の漢字」は、清水寺の森清範(せいはん)貫主(かんす)が縦1・5メートル、横1・3メートルの巨大和紙に墨筆を振るって発表する。揮毫(きごう)の瞬間のテレビ中継もおなじみだ。

 その発表の20~30分前から、森貫主に手渡す筆に墨を念入りに含ませる男性がいる。人呼んで「墨爺(すみじい)」。この男性が「今年の漢字」の生みの親ともいえる大野博史さん(81)だ。漢検協会が京都・祇園で運営する漢字博物館・図書館(漢字ミュージアム)の参与として、普段は来館者に漢字の由来を教えたり、ミニ漢字検定コーナーの採点係をしたりしている。

 大野さんが食器輸入業から漢検協会に転職したのは92年。漢検のことを知ってもらおうと学校回りをしても、怪しげな業者と思われて門前払いされる日々が続いたという。

思いついたのは「きょうの漢字」、でも……

 「何とかして、知名度を上げ…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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