財務省の財政制度等審議会は11月25日、2021年度予算編成に関する建議を麻生太郎・財務大臣に提出した。介護報酬改定については、新型コロナウイルスの国民生活への影響を踏まえ、「プラス改定により、さらに負担増を生じさせる環境にはない」と主張。また、コロナによる利用控えがあったものの6月以降は改善していることを挙げ、「プラス改定で恒久的な負担増をもたらすことは適切ではない」ともした。 介護職員の処遇改善に関しては、社会全体で給与水準が下がり、有効求人倍率も低下しているため、介護報酬で対応するのではなく、コロナ離職者の介護現場への再就職支援や、特定処遇改善加算の取得促進のほか、社会福祉法人に社会福祉充実財産を処遇改善に活用するよう促すことを求めた。 また、介護事業者・施設の運営効率化に向け、ICT(情報通信技術)化に取り組んで生産性の向上を図るとともに、社会福祉連携推進法人制度の活用を促すなどして経営主体の統合・再編を進める施策を講じることも要請した。さらに、エビデンスに基づく加算の見直しや、自治体へのインセンティブ交付金におけるアウトカム(成果)指標の重点化なども求めた。 全国老人福祉施設協議会など介護事業者団体は、厳しい経営環境やコロナ感染防止対策などを理由にプラス改定を求めており、年末に向けて介護報酬に関する水面下での攻防が続けられる。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース