江戸時代に起きた「伊賀越(いがごえ)あだ討ち」の現場と伝わる三重県伊賀市小田町の「鍵屋の辻」で、戦前から営業する「数馬茶屋」が6月末で営業を休止する。市は「耐震補強を施したうえで茶屋を残したい」と打ち出したものの、耐震化の主体など計画は固まっておらず、再開の時期も未定だ。
数馬茶屋は1929年に建てられた木造平屋の建物で、当時から茶屋として使われていた。戦後は、疎開していた国文学者が文学研究会を開くなど文化活動の象徴的な場所だった時期もある。ドナルド・キーンさんら著名人も訪れている。現在の建物は伊賀市が所有し、運営は団体や個人が継承してきた。おかみの井上秀子さん(70)は、2016年7月に先代のおかみから引き継いだ。現在は畳の間やテーブル席などがあり縁側でもくつろげる。
市観光戦略課によると、昨年実施した耐震診断で、地震で大きな揺れに見舞われると倒壊する可能性が高いと評価された。このため市は昨年12月、半年後をめどに「いったん退去を」と井上さんに要請。建物を残すか解体するか未定だったが、今月19日の市議会本会議で市側は「建物は解体せず残したい」と表明した。
ただ、耐震化を進める主体は未定で、家賃など計画の細部も固まっていないという。市の担当者は「着工は整備の進め方や設計の方針などを固めてからになる。茶屋の再開は最短で2年はかかる」と説明する。
19日にも市から説明を受け…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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