4月に厚労省が「要請」も強制力なし
男女雇用機会均等法や労働基準法では、妊娠中や出産後の女性労働者を保護するため、事業主に対して必要な措置を義務付けている。
厚労省は4月1日、経済団体や労働団体に対して妊娠中の女性労働者に配慮するように要請。「一般的に妊婦が肺炎に罹患した場合には重症化するおそれがある」として、休みやすい環境の整備や時差出勤、テレワークを活用するように協力を求めていた。しかし、要請に強制力や罰則はなかった。
日本婦人科感染症学会によると、新型コロナウイルス感染症による妊娠中の女性の重症度、胎児の異常、流産、死産、早産、などは現時点ではまだ明らかにはなっていないが、子宮内における胎児のウイルス感染が疑われる例は報告されている。
また、妊娠中の女性はレントゲン撮影や使用できる薬剤に制限がある。新型コロナウイルスの治療効果が期待され、政府が治療薬として承認を目指す方針と報じられた「アビガン(ファビピラビル)」は、動物実験で催奇形性が確認されている。そのため、妊娠中の女性には投与できない。
当事者も声、3800人超が賛同
不安を抱えながら働く妊娠中女性の保護を求める声は、当事者からあがった。
4月、新型コロナウイルス感染症が広がる中、不安を抱えながら医療活動に従事する妊娠中の医師が、配置転換や休業補償など必要な措置を求める署名活動を開始。署名サイト「change.org」での賛同者は3800人を超えた。
妊娠中の女性の感染防止を国会でとりあげた国民民主党の矢田稚子参院議員は4月7日、当事者たちから寄せられた意見を厚労省に提出。その中には、「リスクの高い中で無事に出産できるか毎日不安」「年次休暇を活用して産休を利用したいと申請したが許可されなかった」「出勤停止を政府で制限してほしい」と切実な言葉が並んだ。
こうした流れを受け、厚労省は5月7日、感染の不安やストレスを抱えながら働く妊娠中の女性にも適用できる特例規定を新たに設けた。
妊娠中の女性労働者が、保健指導・健康診査を受けた結果、その作業等における新型コロナウイルス感染症への感染のおそれに関する心理的なストレスが母体又は胎児の健康保持に影響があるとして、主治医や助産師から指導を受け、それを事業主に申し出た場合、事業主は、この指導に基づいて必要な措置を講じなければなりません。
(厚労省「新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置について」)
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース