お坊さんが説く仏さまの教えに耳を傾けてみませんか。様々な宗派の若手僧侶が10月30日、古都・奈良でとっておきの法話を披露しあいます。登場するのは選考会を通った8組9人。題して、M―1グランプリならぬ「H1法話グランプリ2021」。「教えがすぐれている」「話術がたくみだ」。聴衆が選ぶ基準は法話だけではありません。法話はすべて平等に尊ばれるもの。選考基準は「もう一度会いたいお坊さん」です。
宗派を超え、若手僧侶が法話を披露する「H1(エイチワン)法話グランプリ2021」が30日、奈良市のなら100年会館で開かれる。奈良での開催は初めて。全国公募で集まった僧侶のうち、選考会を通った8組9人が参加する。法話の腕前を競うのではなく、「もう一度会いたいお坊さん」を選ぶ。
実行委員会によると、H1には、仏の教えを説く法話を幅広く伝えたいという思いが込められている。新型コロナウイルスの感染拡大による不安をはじめ、現代社会が抱える問題は尽きない。多くの人が心のよりどころを失いかけている今、慈悲と共生の仏教精神を感じてほしいという。H1のHは、法話をローマ字にした際の最初のHだ。
2017年、栃木県の真言宗豊山(ぶざん)派の青年会が初めて開催した。18年には兵庫県の高野山真言宗の青年会が催した。一つの宗派にとどまらず、様々な宗派の僧侶に参加してもらおうと19年には神戸市の須磨寺で実験的な大会「H1法話グランプリ エピソード・ZERO」を開いた。実行委の呼びかけで7組8人が出た。
今回は初めて全国公募した。条件は全日本仏教会の加盟団体に所属する僧侶で45歳以下。4~6月の公募期間中に16宗派36組が応募し、10分までの法話の動画を寄せた。思想家の内田樹(たつる)さんや相愛大教授の釈徹宗(てっしゅう)さんらによる選考委員会が日蓮宗や臨済宗妙心寺派、天台宗など8組を選んだ。
当日の持ち時間は1組10分。オープニングセレモニーで奈良市立飛鳥中学校の生徒が書道アートパフォーマンスを披露し、釈迦の名号を紙に書く。それを舞台に掲げて魂を入れて本尊とし、そのもとで法話を繰り広げる。釈さんが審査員長、いとうせいこうさんやミュージシャンの後藤正文さんらが審査員を務める。審査員は10票、来場者は3票を持ち、投票する。
実行委員長で、天台宗能福寺(のうふくじ)(神戸市)の雲井雄善(ゆうぜん)住職(52)は「すべての法話は平等に尊ばれるもの。教義の優劣や話術の巧みさを競うのではなく、もう一度会いたい、話を聞きたいと思ってもらえるかが基準です」と言う。奈良での開催は「奈良は仏教のふるさとで、色んな宗派の色んな僧侶が集まるのには、ふさわしい場所」と説明する。
「今は仏教と民衆が乖離(かいり)してしまった。昔はお寺に多くの人が集まって仏さまの話ができた。若い僧侶は危機感を持っている。H1は他宗派の僧侶の法話を聞け、聴衆の反応も感じられ、研鑽(けんさん)の場になる。特に若い人たちに、もっと気楽に法話を聞いてほしい」
30日午後0時半からユーチューブで配信する。詳細はH1法話グランプリのホームページ(https://www.houwagrandprix.com/
開催地元の奈良県からは唯一、華厳宗隔夜寺の中田定慧住職が選ばれました。記事の後半では、本番に向けた中田住職の意気込みなどを紹介します。
■「仏さまの教え、伝えたい」…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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