「保護するべきは確実に保護する」 日本の難民審査、これからも注視

 難民申請中でも送還を可能にする入管難民法改正案の国会審議で問われたのは、日本の難民認定のあり方だ。

 出入国在留管理庁は改正の理由に、送還を逃れるために難民申請を繰り返す「乱用」を挙げる。だが、本当に迫害のおそれがある難民の送還は命に関わる。「疑わしきは申請者の利益に」との国際的な原則があるなか、日本の難民認定は公正なのか疑念は深まった。

 「本当の難民はほとんどいない」。そんな難民審査参与員の意見を入管は法案の根拠にしたが、この参与員が1人で膨大な件数を担当するなど、慎重な審査とはほど遠い実態が浮かんだ。難民認定に積極的な参与員には、審査があまり回ってこないという声もある。

 スリランカ人女性のウィシュマ・サンダマリさんが入管施設で体調不良を訴えながら放置されて亡くなった問題のように、不法入国やオーバーステイを取り締まる入管が外国人を疑ってかかる姿勢も見える。

 だからこそ、審査の公正さを保つため、多くの国と同じように行政から独立した機関を設けることを検討するべきだ。

 一方で政府は、法改正により、難民条約に基づく難民とみなしていない紛争避難民らを「補完的保護」で受け入れるとしている。在留資格のない子どもへの対応でも斎藤健法相から前向きな発言があった。

 迫害や紛争から逃れた人を積極的に受け入れることは国際的な責務であり、日本への信頼を高めることになる。「保護するべきは確実に保護する」と繰り返した政府が、それを本当に実行するのか注視したい。(浅倉拓也)

国会前 「悔しい 悲しい」「訴え続ける」

 国会前ではこの日も難民申請…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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