「備えない防災」が、じわじわ広がろうとしている。東日本大震災が起きてから、もうすぐ10年。災害に備える大切さを誰もがかみしめたはずだったが、その後の地震や豪雨でも犠牲になる人は後を絶たず、災害時の混乱も繰り返されている。備えなくていいの?という疑問を解くカギは、フェーズフリーという考え方にある。
フェーズフリー
「まわりに防災をしなくてもいいと思っている人っています?」「命や生活を失っていいという人は?」
フェーズフリー協会(東京都)の佐藤唯行代表理事を訪ねると、こう質問された。「いないです」と答えると、記者自身の心構えを問われた。
「では、備えていますか?」「きょう寝るまでの間にすることを10挙げてください。首都直下地震が来たときのことは入りましたか?」
食料や水の備蓄はあっても、胸を張って「備えてます」と言える自信はない。頭のなかに常に地震のことがあるわけでもない。正直に伝えると、佐藤さんはこう言った。「防災を取材する記者でもそうなのに、『備えましょう』だけでは解決できません」
いくら備えの大切さを伝えても、必ずしも行動にはつながらない。この悩ましさは防災関係者からよく聞くし、メディアの立場でも実感する。人はなかなか、被災したときのことを想像できない。いつ来るかわからない災害より、目の前の生活に追われがちだ。
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この壁をどうすれば越えられるか。防災の研究や事業に携わってきた佐藤さんが2014年にたどり着いた概念が「フェーズフリー」だ。フェーズとは状態や段階のこと。バリアフリーのように「日常時」「非常時」の境をなくし、対応力を高めることを目指す。
ふだんと災害どちらのフェーズも 備えになるうえ役に立つ
実現している製品はすでにある…
2種類
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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