「僕でもできるかな」元厚労相は児相に尋ねた 政界を去り目指す里親

 官房長官や厚生労働相を務め、昨年10月に政界を引退した前衆院議員の塩崎恭久さん(71)が、地元の愛媛県で里親登録をめざしている。厚労相時代、里親制度を後押しする法改正を進めたが、「制度が十分に知られていない」との思いを抱いてきたという。

 里親制度は、虐待やネグレクト育児放棄)、経済的な理由など、さまざまな事情で実の親と離れて暮らす子どもたちを一般家庭に迎え入れ、養育するもの。児童相談所で研修を受け、登録をした家庭に子どもを委託するのが一般的だ。

法律はつくったが… 高い国の目標と忙しすぎる児相の現実

 塩崎さんは昨年10月の衆院選に立候補せず、政界を引退した。現在は東京と行き来しつつ、松山市内の自宅で暮らす。

 里親には年齢制限がない。「僕でもできるかな」と昨年、児童相談所に申請し、すでに3回の研修を終えたという。春ごろ、里親として認定されるかどうかが決まる見通しだ。

 塩崎さんは厚労相を2014年9月から3年間務めた。この間、親と暮らせない子どもを施設ではなく、家庭と同じような環境の里親のもとで育てることを原則とする児童福祉法の改正(16年)などに取り組んだ。

 児童養護施設では、子どもの養育者が頻繁に代わるため、子どもが特定の大人と継続して安定した関係を築く「愛着形成」がしにくいと指摘される。国は里親や小規模のファミリーホームで暮らす子どもの割合(里親等委託率)を上げようとしてきたが、2019年度末時点での委託率は21・5%にとどまり、児童養護施設と乳児院が大半を占めている。

 児童相談所の忙しさに加え、「里親制度が十分に周知されていない」と塩崎さん。朝日新聞の取材に「僕はこれまで法律や制度をつくってきた。今度は自分がその制度を実践して使い、愛媛の子どものために役立てないかと思っている」と話した。

人口90万人に担当者1人 ならば自分が役に立てないか

 政界引退後、71歳で里親をめざすという元厚労相の塩崎恭久さんに、その思いを聞いた。

     ◇

 昨年10月の衆院選に出ないと決めた後、児童相談所の職員と話す機会があったんです。「里親に年齢制限ってあるんですか」と聞いたら、「ない」って言うから、ひょっとして僕でもできんのかな、と。

 長期間つきっきりで養育する…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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