「元理事と癒着し大会に汚点」 ADK元専務らに有罪判決 五輪汚職

横山輝

 東京五輪パラリンピックをめぐる汚職事件で、大会組織委員会の元理事に対する贈賄罪に問われた広告大手「ADKホールディングス」の元幹部2人の判決公判が11日、東京地裁(友重雅裕裁判長)であった。判決は「大会に汚点を残した」として、元専務の久松茂治被告(64)に懲役1年6カ月執行猶予3年(求刑懲役1年6カ月)、元五輪担当本部長の多田俊明被告(61)に懲役1年執行猶予3年(同)を言い渡した。

 15人が起訴された一連の事件で判決が出るのは、紳士服大手「AOKIホールディングス」の前会長ら3人=有罪確定=に続いて2件目。

 判決によると、両被告はADK前社長の植野伸一被告(69)=同罪で公判中=と共謀し、組織委元理事の高橋治之被告(78)=受託収賄罪で起訴=に対し、「販売協力代理店」に選任されて大会スポンサーの契約業務を担当できるよう依頼。2019~22年に元理事のコンサル会社「コモンズ」に計1485万円の賄賂を送金した。

裁判長 「どこかで立ち止まれなかったのか」 

 判決は「植野前社長が最終判断した方針に従い、犯行に加担した」と認定。「高橋元理事の影響力を利用して自社の利益を上げることに執心し、元理事と癒着を続けた」とし、「世界最大規模のスポーツの祭典で、組織委の意思決定がゆがめられた」と批判した。

 久松元専務については、顧問弁護士から賄賂に当たり得ると指摘されても資金提供を継続したとして量刑を重くした。

 友重裁判長は判決文を読み上げた後、「会社員として利益や実績を追求した結果、事件になった。どこかで立ち止まれなかったのかと強く感じる。執行猶予付き判決ではあるが、国家的プロジェクトに汚点を残した点は重く受け止めてほしい」と述べた。(横山輝)

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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