茶井祐輝
大津市の小学1年の女児(当時6)が兄(18)から暴行を受けて死亡した事件で、滋賀県の児童虐待事例検証部会が15日、課題や対策などをまとめた報告書を発表した。兄が一時的に、大人の代わりに家族の介護や家事を担う「ヤングケアラー」の状態になっていたとし、大津・高島子ども家庭相談センター(児相)について「母不在のリスクを過小評価した」と指摘した。
妹は昨年8月、大津市内の公園のジャングルジムの下で倒れているところを救急搬送され、病院で死亡が確認された。大津家裁は9月、傷害致死の非行内容で送致された兄の少年院送致を決めた。決定によると、兄は同年7~8月、自宅で妹を多数回殴ったり蹴ったりして内臓破裂などのけがを負わせ、死亡させた。
報告書は、別々に暮らしていた母と兄妹の3人が昨春、大津市内で同居を始めた際、兄と妹が同居前に暮らしていた地域の各児相と十分に引き継ぎをしていなかったと指摘。母が不在になる可能性や兄の性格、行動傾向などを十分に把握できなかったとした。
また、家族が崩壊状態になっていることを把握していながら、支援方針を見直さないまま見守りを続けていた点を問題視。事件直前、未明にコンビニを訪れた兄妹について、警察官から通告を受けた際も迅速な一時保護ができず「兄の存在を母に代わる監護者ととらえていた」とし、想定とは異なる家族構成になった時点で、すみやかに支援方針を見直すべきだったと指摘した。(茶井祐輝)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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