「入札妨害罪は成立しない」アイン元社長ら無罪主張 札幌地裁初公判

新谷千布美

 総合病院「KKR札幌医療センター」(札幌市豊平区)の敷地内薬局の整備をめぐる入札妨害事件で、契約関係競売入札妨害の罪に問われた「アイン薬局」を展開する調剤薬局最大手「アインファーマシーズ」(同市白石区)の元社長ら3被告の初公判が13日、札幌地裁(井下田英樹裁判長)であった。3被告とも事実関係は認めたが、うち2被告の弁護人が「入札妨害罪は成立しない」として無罪を主張した。

 起訴されたのは、同社の元代表取締役社長の酒井雅人(54)、元北海道支店長の新山典義(55)、KKR札幌医療センター元事務部長の藤井浩之(62)の3被告。KKRは「国家公務員共済組合連合会」の略称で、藤井被告はみなし公務員の立場だった。

 起訴状などによると、2020年12月、病院の敷地内薬局を選定する公募を締め切った後、アイン側が提案した土地賃料が他社より低額であることを藤井被告が新山被告に教えた。新山被告は酒井被告の了承を得て、月額400万円としていた賃料を月額750万円に差し替えたとされる。

 検察側の冒頭陳述によると、藤井被告と新山被告は同じ高校の野球部の先輩・後輩関係だった。検察側は公募の実施前から、他社が知らない病院側の要望を伝えていたと主張した。

 藤井被告は初公判で起訴内容を認めた。被告人質問では「コロナ禍で赤字となった病院の経営を改善したかった」と動機を語り、「勝手な判断で公正・公平な入札を妨害してしまい、申し訳無い」と謝罪した。

 酒井被告と新山被告も事実関係は認めたものの、弁護人が今回の公募は随意契約の一種で、「入札」にあたらないと主張。罪は成立しないと訴えた。

 次回の公判は12月14日。酒井被告への被告人質問があり、結審する予定だ。

 親会社によると、酒井被告は11月1日付で同社の社長を辞任。取締役だった新山被告も辞任した。(新谷千布美)

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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