TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。1月30日(木)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、ジャーナリストの鈴木哲夫さんが“全世代型社会保障”について見解を述べました。
◆不安だらけの全世代型社会保障
1月20日に招集された通常国会で、安倍首相は施政方針演説を行い、現役世代から高齢者までが安心できる「全世代型社会保障」の実現に向けて、改革を進める方針を示しました。
鈴木さんは、日本は社会保障改革について「20年ぐらい言い続けている」と言います。なぜ着手しないかと言えば、「社会保障について厳しいことを言うと選挙で負けてしまうから」。ようやく安倍首相が改革を示しましたが、鈴木さんは「遅い」と苦言を呈し、さらには政府が唱える「全世代型社会保障」に関しても「みんなが幸せになれるような感じがするけど全然違う」と断言します。
その根拠の参考となるものの1つが、昨秋発表された「財政検証」。これは別名「年金の健康診断」と言われ、今後支給される年金を予測したものですが、中身は30年後も経済成長していくというのが前提。しかし、「その数字はでたらめで、30年後にそんな経済成長はありえないというのが、ほとんどの有識者の判断」と鈴木さん。「“年金は安心”と印象付けるために、本当は厳しいんだけどやり過ごしている」と述べます。
さらに、鈴木さんが挙げたのが、財政検証のなかにある2つの課題。それは、「パート労働者にも年金を」と「保険料拠出期間の延長と受給開始時期の選択」です。
現在はパートで働く人も多く、そういった人たちも年金がもらえたほうがいいと思われがちですが「それは大間違い」と指摘。なぜなら厚生年金は半分を自身、もう半分は企業が払うことになっているため、「企業の負担がものすごく増える。しかもパートを雇っている企業は中小が多い。企業の負担増の部分が、一切隠されている」とその理由を明かします。
また、後者についても昨今「人生100年時代」などと言われていますが、「働くということはそれだけ年金を払い続けることで、もらえる時期は今後もっと遅くなる。騙されてはいけない」と喚起。事実、鈴木さんの周りでも70代になると多くの人がどこかに不調を覚え、「こういう人たちにもっと働けというのは無理な話」と吐露。
総じて、「結局は限られた財源のなかで高齢者からお金を取り、不満のあった若い人に回そうとしている」と鈴木さんは指摘。しかしそれも一時的なもので、「若い人もいずれ年を取る。でも年を取っても年金がもらえない」と言い、「このシステムに騙されてはいけない。高齢者と若い人が一緒になって年金制度、社会保障を考える議論をしていかないと」と訴えます。
起業家で実業家の椎木里佳さんも、10年20年後の経済状況もわからない状態で「年金と言われても、絶対にもらえないと思ってしまう」と感想を口にします。さらにはパートへの年金支給についても「企業が将来的にも絶対にあるとはあり得ないこと」と不安な様子。
最後に鈴木さんは現状を「今をしのげばいいという対症療法的な議論」と例え、それを否定。「幸せとは何か、生きるとは何かなどもセットで(考え)、若い人の意見も聞きながら議論していかなくてはいけない」と主張し、「今の全世代型社会保障は帳尻合わせ。そこを見破らないと必ず跳ね返ってくる」と警鐘を鳴らしていました。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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