栃木県足利市の山火事は5日目の25日も延焼が続いた。周辺の5中、高校が休校し、新たに天狗山西側の大岩町の一部30世帯に避難勧告が出た。避難勧告は計207世帯になった。北関東自動車道の足利IC―太田桐生ICも24日夜から通行止めとなり、あちこちで渋滞が起きた。
市によると、焼失面積は約100ヘクタールに広がり、火が天狗山南側の今福町や西側の大岩町方面の民家に迫る場所が増えた。北側は北関東道の大岩トンネルの上部を越えて延焼した。
市は学校のプールや河川の調節池に水をため、消火用の水確保を始めた。上空からの放水に参加したヘリは茨城や埼玉、宮城県など計12機。地上からも県外から消防応援を受けて168人態勢で消火に当たった。応援を含めた指揮系統を整備するため、消防庁から指揮要員の派遣も受けた。
一部焼け跡が報道陣に公開された。民家まで約3メートルに迫った焼け跡では雑木林の下草や落ち葉が燃えて黒く焦げていた。火だねが飛び散って広がっている様子が確認できた。
長期化に備え、市は保健師を避難勧告地区に派遣し、住民の健康状態を聞き取り、医師会のチームが避難所を訪ねて相談に応じる態勢づくりも進めた。
この山火事で両崖山(りょうがいさん)の山中にある無人の御岳神社が全焼した。両崖山には中世に城が築かれ、城主の長尾氏が名刀「山姥切(やまんばぎり)国広」を打たせたと伝わる。この刀がオンラインゲーム「刀剣乱舞」に登場。神社はファンの「聖地」として知られていたという。
ファンが頻繁に訪れる市内の日本料理店「蝶(ちょう)や」オーナーの奈良孝太郎さん(49)は「小さいほこらのような神社だが、ファンや市民にとっては思い入れのある場所。みんなの手で再建できればと思うが、今はただ鎮火を待つだけです」と話した。(根岸敦生、平賀拓史)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル