前田朱莉亜、小林未来
訪問販売やマルチ商法といった消費者トラブルの多い契約を規制してきた特定商取引法と預託法が6月に改正され、2年後までに順次施行されます。消費者保護を強化する改正内容が多い一方、気をつけなければいけない点もあります。改正のポイントをまとめました。(前田朱莉亜、小林未来)
勝手に送られてくる商品 どうすれば……
「頼んでもいないマスクが突然自宅に届き、代金を要求された」。新型コロナウイルス感染症の影響で全国的にマスクが不足した昨年4月ごろ、こんな相談が国民生活センターに相次いだ。悪質な「送り付け商法」とみられ、代金として数千円を支払ったケースもあるという。
この商法で問題となるのが、一方的に送り付けられた商品を渋々、購入させられる被害のほかに、自分とは無関係だと思って商品を廃棄してしまった人に対し、業者が商品の返還請求を起こし、現金を要求するトラブルだ。
これまでは、購入契約を結んでいない商品の所有権は業者側にあるとの理由で、14日以内ならば、業者側は返還請求できた。このため保管が難しい高価な海産物などを送り付けられ、トラブルとなるケースが多かった。
改正で、業者は14日以内であっても返還請求ができなくなり、消費者側も商品を14日間保管せず、すぐに処分できる。業者から金銭の支払いを要求されても支払う義務はない。今月6日施行された。
クリックしたら「定期購入」、分かりにくい表示に刑事罰
通信販売で「初回無料」などとうたい、実際は高額な定期購入の申し込みをさせる行為の規制も強化される。
こうした相談は2016年の1万3673件から20年には約6万件に急増。SNSの広告で、健康食品や化粧品などを「初回無料」と宣伝し、悪質業者のサイトに誘導する手口が広がっていた。サイトは、効果効能などを強調する一方、契約条件は小さな文字で書くなど、多くは定期購入だとは気づきにくい。
改正法では定期購入であるこ…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル