山口県下関市で建造が進められていた新たな捕鯨母船「関鯨(かんげい)丸」が完成し、船内が3日に公開された。日本が2019年に排他的経済水域(EEZ)で再開した商業捕鯨を担う。5月に初出漁し、東北沖で鯨を捕る予定だ。
所有する共同船舶(東京都)などによると、関鯨丸は全長112・6メートル、幅21メートル、総トン数は9299トン。定員は100人で、航続距離は南極海に到達可能な約1万3千キロ。70トン級の大型の鯨も引き揚げられる。
国内唯一の捕鯨母船として30年以上操業し、昨年秋に引退した同社の日新丸の後継として、約75億円で建造された。
船内は見渡すほどの空間が広がる。1、2カ月にわたって沖合に出る捕鯨母船は、鯨を船内で解体し、冷凍保存する機能を持つ。「動く加工工場」と呼ばれるゆえんだ。
日新丸は屋外の甲板で解体をしていたが、関鯨丸は船内で行うことができ、より鯨肉の鮮度を保てるという。それぞれに温度調節ができる40基の冷凍コンテナも備えた。
日本は19年に国際捕鯨委員会(IWC)を脱退。南極海や北太平洋での調査捕鯨をやめ、EEZ内で商業捕鯨の再開に踏み切った。
共同船舶の所英樹社長は「関鯨丸の完成を、沖合の母船式捕鯨を未来永劫(えいごう)つないでいくきっかけにしたい」と述べた。(白石昌幸)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル