「北朝鮮のスパイ」とされた在日男性の無罪確定 逮捕から41年ぶり

 韓国が軍事政権下にあった1981年、母国訪問中に「北朝鮮のスパイ」として逮捕され、死刑判決を受けて17年間収監された大阪市の故孫裕炯(ソンユヒョン)さん(2014年に84歳で死去)の無罪が再審で確定した。孫さんの死後、遺族が裁判のやり直しを求めていた。

 再審を支援してきた在日韓国良心囚同友会(大阪市)によると、今年1月27日、韓国大法院(最高裁)が検察の上告を棄却し、孫さんを無罪としたソウル高裁判決が確定した。

 昨年10月の高裁判決は、孫さんが情報機関の国家安全企画部(現国家情報院)によって令状なしで46日間監禁され、拷問を受けて自白を強要されたと認定し、嫌疑全体が捏造(ねつぞう)だったと結論づけていた。

 大阪市生野区の自営業者だった孫さんは81年4月、取引先の銀行のゴルフコンペがあったソウルで拘束された。民主化を求めるデモを軍が武力で制圧した光州事件の翌年だった。「北朝鮮のスパイと日本で接触し、韓国に入国して工作活動をした」という疑いをかけられた。当時、留学や商用で渡韓した多くの在日韓国人が同様に政治犯として捕らえられた。

 孫さんは、83年に死刑判決が確定した(後に減刑)。98年の金大中(キムデジュン)大統領の就任に伴う特赦で仮釈放され、大阪へ戻った。

「手をさしのべてくれたのは日本人の支援者」

 歴史の見直しに取り組んだ盧…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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