静岡大と浜松医科大の法人統合・大学再編計画に関し、浜松市内の産官学トップが一堂に会して意見交換する初会合が28日開かれ、現行案が「浜松の地域のためになる」と賛同の声が相次いだ。ただこれまで静岡側からは、静岡大が静岡地区と浜松地区に分割されることへの慎重論も出ている。少子化時代の生き残りをかけた国立大同士の再編統合の行く末は不透明だ。 「浜松地区大学再編・地域未来創造会議」の初会合は市役所で開かれ、浜松医科大の今野弘之学長は「浜松地区の新大学は医、看護、工、情報という日本初の学部構成になる。分野横断的な人材を育成でき、国の期待に十分に応えられる」と強調した。市医師会の滝浪実会長は「人文や教育、自然科学分野の協力を得られると人材育成が成熟する」と医学と他分野の融合効果に期待。産業界からも「留学生が浜松にとどまって働く機会も増える。中小企業から見てもメリットがある」などの声が聞かれた。 現行案に関わった静岡大の石井潔学長は「浜松地区では『アフターコロナ』の時代に欠かせない医学、看護の学部と広く協力できる。静岡地区については、文理統合の学部となる。それぞれの強みを生かす」とメリットを強調した。 ただ、今月行われた静岡大の学長選考では、統合再編に慎重姿勢の日詰一幸・人文社会科学部長が教職員による意向投票で他候補を上回り、次期学長に内定した。昨年3月に両大学が合意した現行案では、静岡市内の新大学は現在の静岡大静岡キャンパス、浜松市内の新大学は現在の静岡大浜松キャンパスと浜松医科大が統合-という「1法人2大学」の計画で、静岡大キャンパスが「分割」される内容。静岡市の田辺信宏市長も「分割することに不安を感じる方がおられ、日詰氏が選考されたことはそうした声の表れ」とコメントしていた事情がある。 こうした背景から、石井学長は「両大学の合意書を尊重すると、新学長に確認したと(選考会議から)聞いている。心配する必要はないと思う」と強調した。 一方、浜松市の鈴木康友市長は「次のステップ」としつつ「静岡地区では薬、食品の学部がある県立大と一緒になれば、バイオや創薬の一大拠点ができて産業政策の大きな柱になる」と早くも“その先”に言及。温度差が浮き彫りになった。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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