本をお薦めしてくれたり、授業に役立つ資料を探してくれたり。多くの学校の図書室では、司書とも呼ばれる本選びの職員が働いている。そんな彼ら「イチオシ」の本が、ランキング形式でまとめられた。生徒だけでなく幅広い年代に本を提案しつつ、学校で働く司書のことを知ってもらう企画だ。
企画は「中高生におすすめする司書のイチオシ本」。京都府内の私立中学や高校で働く司書らに、発売された新刊本のなかから生徒に読んでほしい本はどれかについてアンケートを取り、上位13作品までのランキングにまとめた。
アンケート上位13作品を紹介
主催したのは、府内の私立中高40校でつくる府私立学校図書館協議会・司書部会。このうち28校で働く司書ら48人がアンケートに参加した。
府では、司書はすべての公立高校と多くの私立高校の図書館にいる。本の貸し出し作業に加えて、本を読み手に紹介することが主な仕事だ。
公立図書館などで働く司書が一般的に知られているが、学校図書館の司書はディベートの授業で使うために賛成と反対の立場で書かれた本を用意したり、教員用の教材を準備したりと、授業のサポートもしている。
本にまつわる仕事だけではない。「居場所づくりも大切な役割です」。京都聖母学院中高(京都市伏見区)の図書室に約30年間勤める末次雅子司書教諭は、そう話す。
悩み相談も仕事
日々、「お母さんとけんかした」などの生徒の悩みに耳を傾けたり、食事や睡眠がとれているか聞いたり。必要に応じて、担任や保護者とも連携する。
「先生と生徒という関係ではない、気軽に話せる大人がいることが大切です」と末次さん。
そんな学校の司書の仕事を知ってもらいつつ、司書の提案力によって生徒だけでなく幅広い年代にも良本を紹介しようというのが、企画の狙い。2018年に始まった。
同様の企画は、神奈川県と埼玉県で10年以上、また岡山県でも行われているという。
末次さんは昨年度の同企画に事務局メンバーとして関わった。「司書や図書館スタッフは、学校という閉じられた場所で働きます。この企画で司書やスタッフ同士で交流し、生徒や卒業生、外の人から感想をもらえることがうれしいです」と話す。
さて、今回の1位。
選ばれたのは、新型コロナウ…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル