全国10大学の医学部医学科で不適切入試があったと文部科学省が指摘してから2年がたつ。女子や浪人の受験生が不当に減点され、大きな問題になった。文科省は当初、2020年入試の結果について是正状況を調査しない方針だったが、一転して結果を把握する方針にかじを切り、25日、全国81医学科の男女別合格率をホームページで公表した。これで一連の問題は解決されるのか。実際に不当に減点された女性の経験からは、残る課題も見える。
関東近郊に住む女性は2019年6月、東京医科大、昭和大、順天堂大を相手取り、計約3600万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。受験した18年当時は20代。女性であることや、他の受験生より年長であることを理由に採点で不当に扱われたとして、慰謝料などを求めて現在も争っている。
「医者になる」。この女性にとってそれは、亡き父親のためにどうしてもかなえたかった夢だった。
女性は高校卒業後、医師とは別の医療系の学部を選んだ。卒業を間近に控えた14年1月、医療系資格の国家試験に向けて勉強をしているさなか、父親からメールが届いた。
「体調が悪くて、今夜の食事会は行けなくなった」。高校1年のときに両親が離婚し、母子家庭で育った女性。その日は年に1度、離れて住む父親を交えて、家族で食事をする日だった。「大丈夫?」と返したきり、その夜は試験勉強に没頭した。
翌日、警察から家族に連絡が入…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル