新型コロナウイルスの感染者への差別や偏見が、教育現場でも後を絶たない。昨年は集団感染が起きた学校に誹謗(ひぼう)中傷が集中し、政府の会議では全国の学校でのいじめや差別の実態も報告された。感染が急拡大するこの春も、文部科学省は新たな事例を防ぐための教材の活用を呼びかける。
「卒業式出るな。行くなよ。この常識なし家族が」。広島市東区の女性(44)が新型コロナウイルスに感染して3週間入院し、3月下旬にようやく帰宅すると、郵便受けにはがきが入っていた。消印は同10日。卒業式を控えた小学6年だった息子も感染して入院しており、親子が不在のときに投函(とうかん)されたものだ。
宛名は「○○(女性の姓)一家様」で、差出人の記載はなかった。パソコンで書かれていた。「なんてひどいことを。息子が感染を理由にいじめられたらどうしよう」。夫に伝え、小学校にも連絡した。卒業式は親子が入院中に終わっていた。
発熱してからは登校させていなかったが、はがきには「なんで学校行かせた」と書かれていた。知人との接触のなかで感染したとみられるという。
女性は迷ったが、息子にはがきを見せることにした。からかわれたとき、どう対処するかを知ってほしかったからだ。
読んだ息子は「学校に行きたくない」と言い、自室に2日間閉じこもった。夫は息子に「堂々としていればいい。何か言われたら、『感染したら本当につらいから、みんなも気をつけて』と言ったらいいよ」と励ました。さらに「登校したくなければそれでもいいよ」とも。女性は「負けないで。でも、中学校に入り、あまりにいじめられるなら転校しようね」と伝えた。父母の話を聞き、息子は「少し落ち着けた」と振り返る。
息子は4月、地元の中学校に…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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